諸葛孔明

陳舜臣 著

三国時代の始まり。それは、後漢王朝末期の戦乱の時代であった。若き日の孔明は、徐州に大軍で攻め込んだ曹操軍の殺戮のありさまを見て、乱世の終息をはかる人物の出現を求めた。そして、彼は劉備の三顧の礼に応えて世の中にその名を知らしめるのである。


拙庵でも紹介している吉川英治氏の「三国志」を「動」の三国志とするなら、こちらは「静」の三国志と言えると思います。勇壮な合戦シーンや、智将の謀略うずまく駆け引きなどの描写は控えめです。その分、英雄としての孔明ではなく、一人の人間としての孔明が描かれておりました。若年の頃の拙者が読んだら、そんなに面白いとは感じなかったかもしれませぬが、最近読んでみると味わい深い作品でありまする。


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