坂の上の雲

司馬遼太郎 著

帝国主義の時代、欧米列強はアフリカ・アジアを舞台に植民地争奪戦を繰り広げていた。日本は列強から国を守るために、明治維新で国の近代化を推し進める。
日露戦争という、日本の存亡を賭けた戦争を中心に、明治という時代を生き抜いた数々の英雄を描いた長編小説。

明治時代は侍の時代ではありませぬが、明治という近代国家を作り上げたのは紛れもなく幕末の侍であります。明治政府を動かした高官のほとんどは、幕末に活躍した維新志士でありました。
この小説の主人公は、秋山好古・真之兄弟と正岡子規の、伊予松山出身の3人ですが、その他にも大勢の人物が準主役的な形で描かれております。彼らを通して、日露戦争という日本の国運を賭けた戦いを題材に、明治時代、そしてその後の日本に対する筆者の価値観を巧みに表現しています。そのためか、筆者の他の小説に比べると、あまり「小説」っぽくない印象もあります。現代日本の教育では、日本は悪いことをした、という方針で歴史の教科書が書かれておりますが、そんなに簡単に片付けていいものなのでしょうか。近代以後の日本史を敬遠していた方にも、一度読んでみてほしい作品です。


侍庵トップページへ戻る