柳生石舟斎

山岡荘八 著

1563年。日本は戦国時代の真っ只中にあった。上野にて武田信玄に敗れ、浪人となった上泉伊勢守秀綱はわずかの供と己が今まで研鑚してきた兵法に迷いを抱き、「武」の真髄を求めて旅をしていた。一方、柳生宗厳(むねよし 後の石舟斎)は松永久秀配下の猛将としてその名を轟かせていた。城を失い流浪の旅を続ける秀綱と、日の出の勢いを持つ宗厳。二人が出会い、そこで行われた試合で宗厳は自らの力の未熟さを悟った。即刻、秀綱の弟子となった宗厳は切磋琢磨に励み、「武」の意味することを求めてゆく・・。

個人の武力には限界があります。上泉秀綱や足利義輝など世間にその名を知らしめたほどの彼らでさえ、一城の主としての命脈を保つ事はできませんでした。乱世の中で武を求めることの意味は・・?大名ではなく、戦国時代に生きた剣豪を描いたこの小説はなかなか味わい深いものでした。

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