第18回 ふくい春まつり

越前時代行列

前夜祭編

初陣となった「賤ケ岳天下とりまつり」で知り合い、その後も写真提供などご好意をいただいた真下昌景殿に教えてもらった越前時代行列。春になるとあちこちで春祭りが行われますが、その中で歴史を題材とし、なおかつその参加者を広く募集するという形式のお祭りは、そういくつもありません。
その中でも、毎年春に福井県福井市で行われる「ふくい春まつり 越前時代行列」は、音楽隊300名、時代行列800名の計1100名という大規模なもの。福井(旧国名:越前)は、都・京都の近くという地理的な面もあって、歴史的に縁の深い土地であります。この越前時代行列では、南北朝時代に活躍した新田義貞、戦国時代に越前を治めて繁栄した朝倉家、江戸時代に越前藩の祖となった結城秀康、幕末に賢侯と讃えられた松平春嶽など、歴史にその名を残した人物が数多く登場します。そして、行列の最後を飾る主役は、柴田勝家とその妻・お市の方。今年は、2002年NHK大河ドラマで柴田勝家を演じた他、「暴れん坊将軍」で有名な松平健さんが、勝家役を務めるのであります。
桜咲き乱れる風情のある季節
久しぶりのお祭り参加
子供の頃に見ていた時代劇のヒーローを間近で見れる・・などなど
踊る気持ちで福井まで行ってきました\(^O^)/!


さて、まずは越前時代行列の概要を簡単に紹介いたしまする。

第一部 音楽隊
総勢は300名。地元中高吹奏楽部やマーチング部、消防音楽隊が行列に花を添えます。
第二部 武者隊
<先導軍>
最初に出てくるのは「姉妹友好都市隊」。遠く熊本からお越しの方や、郵便局(今は郵政公社でありますね)、市民親子ペア、田楽踊り、また、姫君としてお市の方準グランプリと熊本キャンペーンレディが登場する賑やかな部隊であります。
・佐々木小次郎隊
2003年NHK大河ドラマ「武蔵」に登場する剣豪・佐々木小次郎。謎に包まれた人物ですが、言い伝えによれば、彼の出生地は越前の国らしいのです。福井青年会議所の方が務めます。
<松平軍>
先導軍に続いて出てくるのは江戸時代の松平軍。
・奴連中
松平軍の先頭は大丹生町奴保存会の方による奴さんたちです。
・結城秀康隊
結城秀康は越前福井藩の藩祖となった人物です。あの徳川家康の次男でしたが、政略のために豊臣秀吉の養子となり、結城家へ養子にいって家督を継ぐなど、彼の人生は波乱溢れるものでした。関が原の戦いの後、越前68万石の大名となり、越前福井藩の祖となりました。
・松平春嶽隊
松平春嶽は越前福井藩16代藩主でした。藩の財政改革などに尽力し、幕末の四賢侯の一人に数えられております。
<幕末明治軍>
続いて登場するのは幕末の志士、橋本左内や熊本藩から招かれた政治顧問、横井小楠、そして鹿鳴館の婦人など、その名の通り、幕末と明治時代を描いた部隊です。
<新田軍>
鎌倉末期から南北朝時代の動乱期を代表するのは新田義貞率いる新田軍です。
・新田義宗隊
新田義宗は義貞の三男。父・義貞の死後は新田家の嫡男として跡を継ぎ、南朝の有力武将として勇敢に戦い続けた武将です。
・脇屋義助隊
脇屋義助は義貞の弟。兄・義貞と共に鎌倉幕府打倒や北朝方との戦いに尽力した武将でありました。
・新田義貞隊
新田義貞は鎌倉幕府を倒し、建武の新政の立役者となった武将です。南北朝の動乱期も、北朝方と戦って奮戦した武将であります。
<朝倉軍>
戦国時代を代表するのは越前の大名・朝倉家。
・浅井長政隊
浅井長政は越前の南、近江の戦国大名でした。越前の朝倉家と近江の浅井家は戦国時代初期から切っても切れない深い関係でした。長政の正室はこの行列にも登場する織田信長の妹・お市の方でしたが、信長と朝倉家が戦った時は朝倉家に味方し、信長と戦いました。
・朝倉宗滴隊
朝倉宗滴は朝倉家一門の重鎮で、一向一揆との対決など、朝倉家を武の面で支えた名将です。
・朝倉義景隊
朝倉義景は朝倉家最後の当主でありました。室町幕府将軍・足利義昭に味方して天下布武を進める織田信長と戦いました。
<柴田軍>
行列の最後は戦国時代末期にこの地を治めた柴田勝家率いる柴田軍です。
・佐々成政隊
佐々成政は信長の家臣の一人で、主に勝家を助けて北陸方面で戦った武将です。
・お市の方隊
お市の方は信長の妹で、当時絶世の美女と讃えられておりました。浅井長政に嫁ぎ、茶々(後の淀君)をはじめ3人の女の子を産みますが、夫・長政は兄・信長と対立。長政の死後、実家に戻ってから織田家の中でも勢力が強かった柴田勝家の正室となりました。今回の行列のヒロインであり、お市の方グランプリに輝いた榊原さんが務めます。
・柴田勝家隊
柴田勝家は信長配下の猛将で、主に北陸方面の攻略を任されました。本能寺の変で信長が倒れると、後継者問題で秀吉と対立。賤ケ岳の戦いで敗れ、妻・お市の方と共に北の庄城で自刃しました。今回の行列の主人公であり、俳優の松平健さんが務めます。

以上、内容盛りだくさんの華やかな行列なのであります。
して、今回の拙者の役は「お市の方隊 鎧武者」!
真下昌景殿、やーたろー殿も同じくお市の方隊所属の鎧武者となりました。そしてさらに新しい出し物として、行列の終点である足羽川(あすわ)河川敷のステージで、殺陣(:「たて」と読みます。「さつじん」ではありませぬ。)を行うというお知らせが届きました。当初、拙者は私用で殺陣の練習には間に合いそうになく、殺陣には不参加のつもりだったのですが、殺陣の運営にあたったマインドアンドサウンドライフの蓮花さん方や真下殿の好意で、何とか時間に間に合うように都合をつけて参加することになりました。
さて、久々の歴史祭り参加。今回は何が待ち受けているのか!?


練習風景その1

拙者の中では、今回の祭りの目玉は「殺陣」。殺陣は台本にそって行われるパフォーマンスゆえ、事前に練習しなければなりませぬ。拙者が前日練習会場に到着したときには、既に練習は始まっておりました。
会場に入ったところで、すぐに真下殿発見!
「おひさでござる〜!」
と、挨拶を交わしたところで、練習中の集団の中にやーたろー殿も発見!
やーたろー殿はこの日の練習のために、仕事が終わってすぐに福井までいらっしゃったとのこと。お仕事お疲れ様であります!
こうして、半年ほど前に「賤ケ岳天下とりまつり」で知り合った3士は再会したのでありました。
左の写真はステージでの練習風景。


練習風景その2

拙者が会場について間もなく、お市の方役の榊原さんと勝家公役の松平健さんも練習場に到着。
拙者心の声(おお、本物の「上様」でござる(感動)!お市の方の榊原さんもなるほど美しい方であることよ)
早速台詞合わせが始まり、「暴れん坊将軍」の松平さんも殺陣の手順を確認(左写真)。宣伝活動のためか、残念ながらお二人はすぐに練習会場をあとにて別の場所へ向かってしまわれました。と、拙者も明日のために練習しなければ!真下殿からメールで聞いていた手順を思い出しながら、実際に体を動かして確認。本番で使う刀は竹光なので、練習で使ったものも細い木材にテープを巻いて柄にした簡素なものや、竹刀、木刀などでありました。模造刀などよりずっと軽くて扱いやすうござった。
しかし、ここでちょっと不安要素が・・。殺陣の参加者がどうもはっきりしないため、誰がどの役をするかが確定していない、という状態だったのであります。本番である明日、チーム分けを編成し直すわけですが、殺陣初心者がほとんどという状況でそれで大丈夫でありましょうか・・・?


前夜祭リハーサル

夕方5時頃。河川敷特設ステージで行われる前夜祭リハーサルのために移動となりました。配られたお弁当を食べて、いざ出発!となったのですが、外は寒い!風も強い!(T_T)日は沈んでいるゆえ、気温が下がるのは当然なのでありますが、強風のせいでかなり寒く感じました。リハーサル参加者の皆様、寒い中お疲れ様でした!
夕方6時頃、リハーサル開始。ステージで行われる寸劇の打ち合わせと練習が始まりました(左写真)。殺陣は、その寸劇の途中に入ります。それにしても寒い
「者ども!かかれ〜!」
の合図で殺陣参加組がステージ前に飛び出したのでござるが、足場が悪い(汗)。午前中に降っていた雨のせいで河川敷はぬかるんでおり、一部水溜りができてしまっているという状態でありました。拙者らのチームは少しでも足場のいい場所を探して移動したりで悪戦苦闘。結局、いける!という感触はつかめなかったのでありました。う〜ん、明日が心配でござる(ーー;)。

これほどの悪条件にもかかわらず、リハーサルの見学者がわりと多いことに気付きました。よく見てみると、女の人が圧倒的に多数。
(これは・・やはり・・?)
やはり松平健さんでしょう。実際、彼がステージに登場したときに黄色い声があふれ、リハーサル終了後には乗った車がファンに囲まれて、もし警備の人がいなかったらサイン&握手攻めで帰れなくなったかもしれませぬ。そして、本番の翌日。その予想は確信に変わるのでありました。


レポートトップページへ戻る
次ページへ