謙信公祭

第78回 2003年8月16日開催 BGM:Fight on!
composed by:リク
謙信公登場

広場に入場した両軍は舞台前に整列。すでに太陽は沈み、あたりは闇に包まれかけております。その中で、パチパチと音を立てて燃える篝火がなんともいえないいい雰囲気をかもし出しておりました。
まずは謙信公が舞台に登り、床机に腰掛けまする。

続いて上杉軍の武将達が名を呼ばれて舞台に上がり、演じている方の紹介が行われました。
舞台に上がった武将は謙信公から木札を受け取り、それを懐にしまって床机に腰掛けます。
上杉軍の次は武田軍。信玄公が舞台に上がり、武田の将4人が順々に呼ばれて舞台に上りました。
その後、武田軍の出陣儀式「三献の儀」が執り行われました。

治長様登場

武田軍は軍師・山本勘介の啄木鳥戦法を採用。上杉勢の背後を突くため、高坂弾正率いる別働隊が密かに戦場を離脱。
一方、これまで山上に陣取って沈黙を保ってきた謙信公は武田軍の戦法を察知し、夜陰に紛れて山を降りて手薄になった武田勢本陣を強襲する作戦を取ります。
「鞭声粛々、夜河を渡る」
の謡が流れる中、上杉軍は殿(しんがり:軍の最後方を守る。退却の時などは追撃する敵軍と戦わねばならない危険な役目)に甘粕景持隊を置き、残りの全軍を率いて戦場へ向かうのでありました。

両軍対峙

観客席から向かって右に上杉軍。左に武田軍が陣を構えて対峙。上杉軍の布陣は、謙信公の本陣が正面最前線。その後ろに拙者が属する新発田治長隊、その後ろに女武者隊、さらに後ろに殿軍の甘粕景持隊。右翼は本庄実乃隊が固め、左翼に高梨政頼隊、その脇に柿崎景家隊が控えます。
武田勢の布陣はあまりよくわかりませんでしたが、真正面に信玄公本陣があり、謙信公本陣とにらみ合う形になっておりました。

まずは、プロの殺陣師の方による間者同士の戦いが中央で繰り広げられました。身軽な間者だけあって、動きは軽快!側転を織り交ぜた見事な殺陣を披露されておりました。この戦いは黒装束の上杉間者が勝利!しかし、武田の間者は他にもいるかもしれないゆえ、上杉勢最強部隊である女武者隊が武田間者の掃討に出陣!
彼女らの薙刀の一振りで、潜んでいた武田の武者は効果音に合わせて斬られまくってユーモラスに倒れていきます。この辺りは観客の皆様も笑う場面でござる(^o^)。

間者戦は上杉軍勝利!

さて、次はいよいよ車懸かりの陣!序盤の見せ場でござる!
高坂隊に追われて山を降りてきた上杉軍を、挟み撃ちにして打果すつもりだった武田軍。ところが、上杉軍は先に山を降り、兵力が減少している武田勢本陣を強襲します。突如現れた上杉勢に驚く武田勢。上杉勢は高梨・柿崎・本庄・新発田の4隊が前に出て方陣を形成。拙者はリハーサルで惟新殿に言われたことを思い出し、隊列が真っ直ぐになっているかを確認。
「隊長に合わせてまっすぐ並んで下され!弾正殿、出すぎでござる!」
こうして見てみると、皆様刀を構えて眼が真剣そのもの。士気は十分の模様であります。しかし、隊列は少し蛇行しておりました(^_^;)
と、そうしている間に高梨隊の攻撃が終わっていったん後退。陣は回り回って、いよいよ新発田隊の出番でござる。
「新発田隊!かかれ〜!!」
合戦模様写真は新発田隊の合戦場面ではありませぬ。どの隊だったかな・・??
拙者は迎え撃つ山本隊に向かってまっすぐ突進!リハーサルで決めた相手の方に切りかかったのでありました!
「ゆくぞ!!覚悟!!」
と・こ・ろ・が、相手の反応がまったく違うではありませぬか。拙者の攻撃に驚いて、後ろに下がりはじめたのでござる。よく相手の顔を見てみるとメガネをかけていらっしゃいました。
(??あの人メガネかけていたっけ??今日のリハーサルの時はかけてなかったな・・。でも昨日はかけていたかも??)
混乱してしまいましたが、ふと見ると周囲を見回している武田武者をすぐ近くに発見!あの人か!と、正面に立ちはだかると、相手の方も拙者を認識した模様。それでは、仕切り直していざ勝負!
ここでしばらく予定通りの殺陣を演じたのでありますが、鍔迫り合いから飛びのいた時にはぐれてしまいました。辺りは予想通りの混戦状態。隊長がどこかもわからない有様。さらに総懸かりの号令が下され、両軍共に控えの部隊を投入して戦況はますます激しさを増します。こうなりゃ、アドリブでやるしかないか!
「出会え出会え〜ぃ!!我こそは新発田因幡守様が郎党、山内兵馬!腕に覚えのあるものは我と勝負せよ!!」
一度やってみたかった戦場での名乗り。こんなことを叫んでも周囲の喚声・気合・BGMにかき消されて誰にも聞こえちゃいないと思ったのでありますが、この名乗りが聞こえたのか、拙者のすぐそばに敵将・信玄公が!そして拙者に撃ちかかってきたのは名高き名将・内藤昌豊殿!
「おお!武田勢の内藤様!いざ勝負!!」
これ以後、どのように戦ったのかはあまり覚えておりませぬ。内藤殿との勝負も、鍔迫り合いで弾かれて退いたことぐらいしか記憶にありませぬ。そのうち、「退け」の司令が出たゆえ、拙者は陣に戻ったのでありました。

合戦模様2

なんとか上杉軍の攻撃を一時しのいだ武田勢。中央で新発田隊の郎党1名を斬り伏せた山本勘介は、信玄公に作戦の失敗を詫び、自分の部隊を率いて謙信本陣襲撃をはかります。
これに対して、上杉軍は猛将・柿崎景家の部隊が迎撃!この時拙者は、柿崎隊かかれ!の号令で渡された銅鑼をジャンジャン叩き鳴らしました。
「そら、かかれ〜〜ぃ!!」
一兵士のくせに、ちょっと指揮官になった気分がした次第^^。

(写真提供:景虎むすめ殿)

舞台では惟新殿演じる柿崎景家と山本勘介の一騎打ちが始まります。後で聞いたところによると、山本勘介役の方は5年連続で謙信公祭に参加されているそうです。そういえばリハーサルの時も、手馴れた感じで指揮にあたっておられました。お二人の戦い、拙者の位置からはあまりよく見えなかったのでありますが、華麗な立ち回りだったと聞いております。
一騎打ちの末、山本勘介は討ち取られ、この戦いの軍配は柿崎景家に上がります。勝ち鬨をあげる上杉勢。どよめく武田勢。
そんな時
バチン!!
突然、周囲は真っ暗闇。
・・・停電でござる・・・しばしお待ちあれ・・
約1分ほどたったあと、無事に復旧しました。
戦は再開じゃ〜〜!!
観客も参加者も拍手で迎えて、再び合戦開始でござる!
勢いに乗る上杉勢はここで再び最強部隊・女武者隊を投入!武田勢もまた女武者隊を投入し、観客席の目前で女武者戦が繰り広げられたのですが、拙者の位置からはまたしても友軍に視界を遮られて見えず・・・(^_^;)
女武者戦に続いて上杉軍は総攻撃開始!このまま勢いに乗って信玄公の首を上げるのだ!!拙者は全軍の突撃開始で銅鑼を叩き、自分も竹光を抜き放って武田勢に突進。目標は信玄公のすぐ側に立っていた陣羽織の武者、そう、米屋繁霞殿でござる!

合戦模様3

(写真提供:景虎むすめ殿)

繁霞殿の陣羽織は上杉陣からもよく見えもうした!
「繁霞殿!いざ勝負!!」
この時、拙者らがやった殺陣。これまたあまり覚えておりませぬ(^_^;)。特に手を決めていたわけではなかったゆえ、基本的にアドリブでやっておりました。鍔迫り合い、すれ違い、袈裟斬りなどの基本的(?)な技をやりながら、このあたりで「退け」の合図。
拙者の後日感想
(それにしても、繁霞殿はよく動いて元気に立ち回るものでござるな〜)

果敢に攻め立てる上杉勢でありますが、武田勢も必死の防戦で信玄公を守ります。時間がたてば高坂弾正率いる別働隊が・・・。遂に謙信公は単騎で敵陣に切り込むのでありました。川中島の有名な伝説でござる。
さらに、謙信公は馬を降りて舞台で信玄公と一騎打ち。謙信公が信玄公に一太刀浴びせ、とどめをさそうとしたところで馬廻りの武者が謙信公に切りかかり、さらに内藤隊が舞台に駆け寄って謙信公を包囲。これにはさすがの謙信公もたまらず、あと一歩というところで退却します。
(写真提供:景虎むすめ殿)

謙信公単騎切り込み
武田勢応射

謙信公が退いたあとも、上杉軍の猛攻は続きます。高梨隊による鉄砲射撃に対し、武田勢は真田隊が鉄砲で応射。写真はその発砲の瞬間をとらえたものでござる。

鉄砲の応酬の次は本庄隊と内藤隊による槍合戦。この時も、拙者は出撃の銅鑼を叩いて士気を鼓舞。
この銅鑼、大活躍でござる^^
続いて本庄隊に代わって、新発田隊が武田勢に突入を敢行。迎え撃つのは旧山本隊(大将の山本勘介は討ち取られているため、勘介役の方は兜を脱いで別の武将となっておりました。)!拙者はリハーサルの相手を探したのですが、今度はさっぱりワカラナイ。。
照明があるとはいっても、暗がりでは相手の顔はわかりにくいものでござる。しかも、先ほどメガネの有無で混乱していたゆえなおさらわからず(^_^;)。仕方ないゆえ、この時もアドリブでやっておりました。と、その最中に照明が落ちて再び辺りは真っ暗に。。
(あら?またしても停電・・??)

高坂隊登場!

いやいや、停電ではありませぬ。ついに高坂隊が戦場に到着したのであります。松明をかかげて山を降りてくる高坂隊は見事なものでありました。拙者はしばらく戦いを忘れて(相手は見つからなかったのですが)、見とれておりました。

(写真提供:肥前守左馬之助殿)

は!見とれている場合ではありませぬな。山から降りてきたのは武田勢の新手の部隊。迎撃せねば!
この時拙者は、高坂隊から最も近い位置におり、ちょっと離れたところで因幡守様と元山本勘介殿が、その他郎党はわりと後方にいたと覚えております。そういうわけで、拙者は自主的に高坂隊を迎撃に向かい申した。
「やっと現れたか高坂隊!この場は新発田因幡守様が郎党、山内兵馬がお相手いたそう!敵将!かかってこい!」
やった!二度目の名乗り^^!

新発田隊vs高坂隊

一人で気焔を上げる拙者に対して、高坂隊は持っていた松明を地面に置いて抜刀。そして攻撃開始!
拙者の名乗りが聞こえたのかどうか、拙者が渡り合った相手は高坂弾正殿本人でありました。刀を合わせて鍔迫り合いの最中
「高坂殿でありますな!御首頂戴いたす!」
高坂殿「奥行って広がりましょう。ここ狭いです。」
と、熱くなりすぎている拙者に対して、将である高坂殿は冷静でありました。
(写真提供:まめのすけ殿)

・・・・
この後、拙者の記憶は飛んでおります。。高坂殿との戦いも、鍔迫り合いで奥までいったあとはすぐにはぐれてしまい、その後何をしていたのかは全然覚えておりませぬ。
次の記憶は、総懸かりで再び繁霞殿と刃を交えたこと。いつの間にやら、観客席のすぐ側で戦っており、その際に惟新殿演じる柿崎和泉守様も近くにいらっしゃったことを覚えております。後に聞いたところ、事前に多くの方の標的となっていた左馬之助殿演じる真田幸隆殿もその時すぐそばにいらしたそうなのですが、その時は全然わかりませんでした。拙者は繁霞殿との戦いに夢中でありました(^_^;)。
間合いをとって対峙しているとき、繁霞殿が何か言っているようなのですが、周囲の音が邪魔でさっぱり聞き取れませぬ。
「繁霞殿!聞き取れませぬぞ!!」
という拙者の声も周囲の喚声にかき消されてしまったようです。その後の鍔迫り合いで繁霞殿に 「次の攻撃で胴を斬って。」
と言われ、飛びのいたあとに向かってくる繁霞殿の一撃をかわして胴を払ったつもりだったのですが、攻撃をよけることと刀を当てないことに気をとられ過ぎて半端な動きになってしまいました(ーー;)。練習が必要であります。
そして、両軍共にいったん引き上げた後、新発田隊は戦況不利を謙信公に申し上げます。謙信公はそれを容れて退却準備を指示。その間、殿軍の甘粕隊と武田勢の高坂隊が激しい戦いを展開。甘粕隊の将・甘粕景持様は高齢の武将でありますが、壮年に負けず劣らずの気合と動きで奮戦しておられました。拙者もああいう元気な老いてますます盛ん、と言われる武将になりたいものでござる(^o^)。
そして最後は武田勢の中央を突破して善光寺方面へと引き上げるのでありました。この時拙者は、打ち合わせ通り、再度繁霞殿と刃を交え、鍔迫り合いで繁霞殿が拙者を弾き飛ばす、という形で拙者の戦いは終了。

最後は舞台で

最後は上杉軍諸将が舞台に登り、役員の方々のご挨拶。因幡守様の背旗がとれてしまっているところ、激戦の様子を物語っておりまする。
さて、祭りが終わった後は焼肉で打ち上げでござる。さすがに大暴れしたあとであるうえに、元々酒を飲むと眠くなってしまう拙者はこの時の記憶がとぎれとぎれであります(^_^;)。といっても、いろいろな方と話した内容はだいたい覚えておりますぞ。
さらに一部の歴史祭り愛好家達は2次会に繰り出しカラオケへ。
武田節を上杉節に変えて歌う播磨守殿、それに対抗して武田節に直す繁霞殿。そして、独走状態となったのりび殿^^。祭りが終わった後も、興奮冷めやらぬ一日でありました。
そして、翌日。この日も春日山城にてイベントがあったのですが、あいにくと朝から雨。名残惜しくはありましたが、拙者は上越の地をあとにしたのでありました。

<謝辞>
此度の謙信公祭では、まことに多くの方々にお世話になりました。
まずは、新発田隊を率いたやーたろー殿、お疲れ様でした!最後まで書類を見て念入りにチェックし、新発田隊を導く姿は見事でありました。
あゆみ殿、松永弾正殿はじめ、新発田隊の皆様、まことにありがとうございました。拙者が提案した行列パフォーマンスに快くご協力してくださったこと、感謝感激であります。
休憩中から本番まで拙者の対戦相手となっていただいた米屋繁霞殿、ありがとうございました。噂の繁霞パワー、お見事でありました。
惟新殿、うーろん殿、上杉播磨守定景殿、雨順斎全長殿、景虎むすめ殿、じーや殿、水雲斎殿、のりび。殿、肥前守左馬之助殿、碧雲斎殿、いろいろとお世話になりました。またどこかのお祭りなどでお会いできることを楽しみにしておりまする。
また、当日見学にいらしてくださった佐々成政殿、お疲れ様でした。楽しんでいただけたようで何よりです。同じく貴重な新発田隊の写真を提供していただいたまめのすけ殿、ありがとうございました。
拙者と戦う予定だった山本隊郎党の方、本番ではちょっとしかお相手できずに申し訳ありません。
最後に、此度の謙信公祭の企画・運営に携わった上越市役員の皆様、丸竹産業の皆様にこの場を借りて深く御礼申し上げます。


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