広場に入場した両軍は舞台前に整列。すでに太陽は沈み、あたりは闇に包まれかけております。その中で、パチパチと音を立てて燃える篝火がなんともいえないいい雰囲気をかもし出しておりました。 | |
続いて上杉軍の武将達が名を呼ばれて舞台に上がり、演じている方の紹介が行われました。 |
武田軍は軍師・山本勘介の啄木鳥戦法を採用。上杉勢の背後を突くため、高坂弾正率いる別働隊が密かに戦場を離脱。
一方、これまで山上に陣取って沈黙を保ってきた謙信公は武田軍の戦法を察知し、夜陰に紛れて山を降りて手薄になった武田勢本陣を強襲する作戦を取ります。
「鞭声粛々、夜河を渡る」
の謡が流れる中、上杉軍は殿(しんがり:軍の最後方を守る。退却の時などは追撃する敵軍と戦わねばならない危険な役目)に甘粕景持隊を置き、残りの全軍を率いて戦場へ向かうのでありました。
観客席から向かって右に上杉軍。左に武田軍が陣を構えて対峙。上杉軍の布陣は、謙信公の本陣が正面最前線。その後ろに拙者が属する新発田治長隊、その後ろに女武者隊、さらに後ろに殿軍の甘粕景持隊。右翼は本庄実乃隊が固め、左翼に高梨政頼隊、その脇に柿崎景家隊が控えます。 | |
まずは、プロの殺陣師の方による間者同士の戦いが中央で繰り広げられました。身軽な間者だけあって、動きは軽快!側転を織り交ぜた見事な殺陣を披露されておりました。この戦いは黒装束の上杉間者が勝利!しかし、武田の間者は他にもいるかもしれないゆえ、上杉勢最強部隊である女武者隊が武田間者の掃討に出陣! |
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さて、次はいよいよ車懸かりの陣!序盤の見せ場でござる! | |
なんとか上杉軍の攻撃を一時しのいだ武田勢。中央で新発田隊の郎党1名を斬り伏せた山本勘介は、信玄公に作戦の失敗を詫び、自分の部隊を率いて謙信本陣襲撃をはかります。 | |
舞台では惟新殿演じる柿崎景家と山本勘介の一騎打ちが始まります。後で聞いたところによると、山本勘介役の方は5年連続で謙信公祭に参加されているそうです。そういえばリハーサルの時も、手馴れた感じで指揮にあたっておられました。お二人の戦い、拙者の位置からはあまりよく見えなかったのでありますが、華麗な立ち回りだったと聞いております。 | |
(写真提供:景虎むすめ殿) |
繁霞殿の陣羽織は上杉陣からもよく見えもうした! |
果敢に攻め立てる上杉勢でありますが、武田勢も必死の防戦で信玄公を守ります。時間がたてば高坂弾正率いる別働隊が・・・。遂に謙信公は単騎で敵陣に切り込むのでありました。川中島の有名な伝説でござる。 |
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謙信公が退いたあとも、上杉軍の猛攻は続きます。高梨隊による鉄砲射撃に対し、武田勢は真田隊が鉄砲で応射。写真はその発砲の瞬間をとらえたものでござる。 | |
鉄砲の応酬の次は本庄隊と内藤隊による槍合戦。この時も、拙者は出撃の銅鑼を叩いて士気を鼓舞。 | |
いやいや、停電ではありませぬ。ついに高坂隊が戦場に到着したのであります。松明をかかげて山を降りてくる高坂隊は見事なものでありました。拙者はしばらく戦いを忘れて(相手は見つからなかったのですが)、見とれておりました。 | |
は!見とれている場合ではありませぬな。山から降りてきたのは武田勢の新手の部隊。迎撃せねば! | |
一人で気焔を上げる拙者に対して、高坂隊は持っていた松明を地面に置いて抜刀。そして攻撃開始! |
・・・・
この後、拙者の記憶は飛んでおります。。高坂殿との戦いも、鍔迫り合いで奥までいったあとはすぐにはぐれてしまい、その後何をしていたのかは全然覚えておりませぬ。
次の記憶は、総懸かりで再び繁霞殿と刃を交えたこと。いつの間にやら、観客席のすぐ側で戦っており、その際に惟新殿演じる柿崎和泉守様も近くにいらっしゃったことを覚えております。後に聞いたところ、事前に多くの方の標的となっていた左馬之助殿演じる真田幸隆殿もその時すぐそばにいらしたそうなのですが、その時は全然わかりませんでした。拙者は繁霞殿との戦いに夢中でありました(^_^;)。
間合いをとって対峙しているとき、繁霞殿が何か言っているようなのですが、周囲の音が邪魔でさっぱり聞き取れませぬ。
「繁霞殿!聞き取れませぬぞ!!」
という拙者の声も周囲の喚声にかき消されてしまったようです。その後の鍔迫り合いで繁霞殿に
「次の攻撃で胴を斬って。」
と言われ、飛びのいたあとに向かってくる繁霞殿の一撃をかわして胴を払ったつもりだったのですが、攻撃をよけることと刀を当てないことに気をとられ過ぎて半端な動きになってしまいました(ーー;)。練習が必要であります。
そして、両軍共にいったん引き上げた後、新発田隊は戦況不利を謙信公に申し上げます。謙信公はそれを容れて退却準備を指示。その間、殿軍の甘粕隊と武田勢の高坂隊が激しい戦いを展開。甘粕隊の将・甘粕景持様は高齢の武将でありますが、壮年に負けず劣らずの気合と動きで奮戦しておられました。拙者もああいう元気な老いてますます盛ん、と言われる武将になりたいものでござる(^o^)。
そして最後は武田勢の中央を突破して善光寺方面へと引き上げるのでありました。この時拙者は、打ち合わせ通り、再度繁霞殿と刃を交え、鍔迫り合いで繁霞殿が拙者を弾き飛ばす、という形で拙者の戦いは終了。
最後は上杉軍諸将が舞台に登り、役員の方々のご挨拶。因幡守様の背旗がとれてしまっているところ、激戦の様子を物語っておりまする。
さて、祭りが終わった後は焼肉で打ち上げでござる。さすがに大暴れしたあとであるうえに、元々酒を飲むと眠くなってしまう拙者はこの時の記憶がとぎれとぎれであります(^_^;)。といっても、いろいろな方と話した内容はだいたい覚えておりますぞ。
さらに一部の歴史祭り愛好家達は2次会に繰り出しカラオケへ。
武田節を上杉節に変えて歌う播磨守殿、それに対抗して武田節に直す繁霞殿。そして、独走状態となったのりび殿^^。祭りが終わった後も、興奮冷めやらぬ一日でありました。
そして、翌日。この日も春日山城にてイベントがあったのですが、あいにくと朝から雨。名残惜しくはありましたが、拙者は上越の地をあとにしたのでありました。
<謝辞>
此度の謙信公祭では、まことに多くの方々にお世話になりました。
まずは、新発田隊を率いたやーたろー殿、お疲れ様でした!最後まで書類を見て念入りにチェックし、新発田隊を導く姿は見事でありました。
あゆみ殿、松永弾正殿はじめ、新発田隊の皆様、まことにありがとうございました。拙者が提案した行列パフォーマンスに快くご協力してくださったこと、感謝感激であります。
休憩中から本番まで拙者の対戦相手となっていただいた米屋繁霞殿、ありがとうございました。噂の繁霞パワー、お見事でありました。
惟新殿、うーろん殿、上杉播磨守定景殿、雨順斎全長殿、景虎むすめ殿、じーや殿、水雲斎殿、のりび。殿、肥前守左馬之助殿、碧雲斎殿、いろいろとお世話になりました。またどこかのお祭りなどでお会いできることを楽しみにしておりまする。
また、当日見学にいらしてくださった佐々成政殿、お疲れ様でした。楽しんでいただけたようで何よりです。同じく貴重な新発田隊の写真を提供していただいたまめのすけ殿、ありがとうございました。
拙者と戦う予定だった山本隊郎党の方、本番ではちょっとしかお相手できずに申し訳ありません。
最後に、此度の謙信公祭の企画・運営に携わった上越市役員の皆様、丸竹産業の皆様にこの場を借りて深く御礼申し上げます。